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「せっかく採用したのに、数ヶ月で辞めてしまった……」 「繁忙期を前に、また欠員が出てしまった……」

会計事務所業界において、人材の定着は経営を左右する重要課題です。採用難易度も上がっており、「いかに採るか」と「いかに定着させるか」が重要になります。本記事では、入社後の早期離職を防ぎ、職員が長期的に活躍するための具体的なフォロー設計について解説します。


【1】会計/税理士事務所での早期離職の原因とは

早期離職が続くと、事務所の成長に大きなブレーキがかかります。まずは、会計/税理士事務所ならではの早期離職の代表的な原因を整理しておくことが、入社後フォローを設計するうえでの前提になります。

①業務内容・労働条件の違い:入社前に約束した条件と異なる

早期離職で最も多いのが、「聞いていた話と違う」という入社後ギャップです。 求人票や面接では「残業は月20時間程度」「試験勉強と両立しやすい」「業務は巡回監査が中心」などと説明していたにもかかわらず、実際には繁忙期に毎日のように終電まで残業が続いたり、単純な入力業務ばかりが続いたりすると、スタッフは「聞いていた内容と違う」と感じミスマッチとなってしまいます。このように入社前の説明と実態のギャップ(リアリティ・ショック)が最大の離職理由です。 もちろん、採用担当者に悪意がないケースも多いでしょう。しかし、「一般的な目安」として伝えた労働時間や、「将来的には任せたい業務」を、求職者側が「今すぐの話」と受け取ってしまうこともあります。条件面・業務内容や繁忙期の残業時間の目安、休日出勤の有無、試験前休暇の運用、有給取得などについては、あいまいな表現が多いほどギャップは生じやすくなるため、募集段階からできるだけ具体的に説明しておくことが重要です。

②人間関係・指導不足:聞きづらい・教えてもらえない職場

会計/税理士事務所は少人数の組織も多く、配属チームや上司・所長との相性が、働きやすさに直結します。入社したスタッフが、以下のような状況に置かれると、短期間でモチベーションが低下しやすくなります。 〇質問すると露骨に嫌な顔をされる 〇ミスをフォローするより先に叱責が優先される 〇「見て覚えて」と言われるだけで、体系的な教育がない 〇所長や先輩が忙しすぎて、相談するタイミングが取れない 特に未経験者やキャリアチェンジ組の場合、最初の数カ月で「自分はここでやっていけるのか」という手応えを得られないと、「迷惑をかけているだけではないか」と不安が膨らみ、退職を選びやすくなります。人間関係そのものだけでなく、「安心して質問できるか」という指導設計も、早期離職防止のポイントになります。

③スキルミスマッチ:できる仕事と求められるレベルのズレ

「求めているスキル」と「実際にできること」のミスマッチです。 中途採用でよくあるのは、求職者側は「決算や申告書作成も経験がある」と考えている一方で、事務所側は「顧問先を一人で担当し、月次から決算・申告まで任せられるレベル」をイメージしているケースです。 〇前職では一部分しか担当しておらず、全体像を理解していない 〇顧客折衝の経験が乏しく、電話対応や訪問に強い抵抗感がある 〇ITリテラシーやクラウド会計への適応が想定よりも遅い こうしたギャップがあると、事務所側は「思ったより戦力にならない」、スタッフ側は「求められるレベルが高すぎる」と感じ、お互いに不満が溜まっていきます。採用段階でのスキル要件の言語化に加え、入社後3ヶ月の育成計画を用意しておくことが、ミスマッチからの早期離職を防ぐカギになります。

【2】早期離職がもたらす会計事務所への影響

早期離職は、単に「残念だった」で済む問題ではありません。目に見えるコストと、目に見えない損失の両面で、事務所経営に影響を与えます。

①採用コスト・教育コストの増大

求人広告費、人材紹介会社への成功報酬、面接や選考にかけた時間、入社後の教育にかかる工数など、1人採用するだけでも多くのコストが発生します。早期離職になるとこれらのコストが「損失」となってしまいます。

②採用担当者のモチベーション低下

早期離職が繰り返されると、採用担当者や所長自身のモチベーションも低下していきます。 「せっかく時間をかけて採用したのに、またすぐ辞めてしまった」「自分たちの見る目がないのではないか」といった感情が蓄積すると、採用活動そのものに前向きになれなくなります。 ・面接やフォローが「作業」になり、候補者への対応が機械的になる ・本来必要な振り返り(求人内容・選考・受け入れ体制の見直し)が後回しになる 結果として、ますますミスマッチが生まれやすくなるという悪循環に繋がります。

③職場全体の士気低下