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本コラムでは、会計/税理士事務所の採用市場と採用コストの現状を整理したうえで、具体的な求人媒体・採用手法の使い分け方を解説します。自事務所の採用戦略を見直す際の「判断軸」としてお役立ていただければ幸いです。


【1】会計/税理士事務所の採用市場

会計・税理士事務所の採用市場は、候補者にとって有利な売り手市場で、事務所側にとっては採用しづらい状況が続いています。背景には「税理士試験受験者数の減少」や「若手層の業界離れ」があります。特に、都市圏では求人を出してもなかなか応募がこないケースも珍しくありません。また、税理士の高齢化も進行しており、次世代へのバトンタッチがスムーズに進んでいません。これらの構造的な問題も、採用活動を困難なものにしています。

このような状況下で、「経験者採用を中心にするか」「未経験者層を一から育成するのか」など、採用戦略の立て方がより重要になります。また、他事務所との差別化(働き方・教育体制・給与体系・評価制度の透明性など)も採用成功の鍵を握ります。事務所の強みをどう伝えるか、これが採用手法や採用媒体選びにも直結します。

【2】会計/税理士事務所の採用コスト

会計/税理士事務所の多くは、中小規模で採用コストが経営負担になりがちです。 たとえば、一般の求人媒体では掲載費用が数万〜数十万円(掲載プランによる)、人材紹介会社を活用すれば採用決定時に年収の30~35%前後の成功報酬がかかります。これに対して、ハローワークは無料で求人掲載できる一方、応募数や質の面で課題があるのが現実です。

このように、無料で始められるハローワークから、採用成功時にまとまった費用が発生する人材紹介まで、選択肢は様々です。しかし、重要なのは「コストを抑えること」が目的化してしまい、結果的に「求める人材に出会えない」という本末転倒な事態に陥らないことです。「応募が来ない」「来てもミスマッチばかり」という課題は、事務所の規模に関わらず多くの経営者が抱える共通の悩みであり、非効率な採用活動は結果としてコストを増大させる要因となります。

採用市場環境と、それに伴うコスト負担の増大。こうした状況を正しく認識し、戦略的に動くことで、活路は見出せます。次のブロックでは、この課題を乗り越え、採用を成功に導くための具体的な人材募集方法を多角的に掘り下げていきます。

【3】会計/税理士事務所の人材募集方法

採用コストを抑えながらも、質の高い人材を確保するには、多様化する採用チャネルを理解し、自事務所のフェーズやターゲットに応じて戦略的に組み合わせて活用する併用戦略が効果的です。

〇採用ツールの種類と併用戦略のポイント

採用ツールは、それぞれに異なる特性を持っています。重要なのは、これらの特性を理解した上で、自事務所の規模、予算、そして何より「どんな人材を求めているか」という採用ターゲットに応じて最適に使い分けることです。採用に成功している多くの事務所は、単一のツールに頼るのではなく、複数のチャネルを併用することで採用効果の最大化を図っています。

採用ツールの種類や採用手法

■無料で利用できるハローワークや採用サイトを活用

コストを抑えたい場合は、まずはハローワークや無料の求人サイトをベースに運用し、必要に応じて有料の求人媒体を組み合わせます。有料の求人媒体でも低コストで利用でき、採用力強化の第一歩となります。

■ブログやSNSを活用する

ブログやSNS(X・Instagram・LinkedInなど)で日々の業務や、繁忙期の様子、福利厚生などを発信すれば、事務所の雰囲気を伝えられます。求職者の多くは複数の媒体で情報を確認しているため、「信頼感・共感」を醸成するツールとして有効です。事務所の日常や雰囲気をカジュアルに発信し、求職者との心理的な距離を縮めます。特に若年層へのアピールに有効です。採用広報は、すぐに大量の応募に繋がる即効薬ではありません。しかし、地道に続けることで事務所の専門性や人柄が伝わり、独自の「採用ブランド」が確立されていきます。将来的に「もし転職するなら、あの事務所で働きたい」と第一想起されるような、ファンを育てる採用広報活動でもあります。