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会計/税理士事務所の採用では、「内定を出しても辞退される」「自所の魅力がうまく伝わっていない気がする」「良さそうだと思って採用したのに、すぐに辞めてしまう」といった悩みは珍しくありません。

こうした悩みを解決する鍵は、面接官の「2つの役割」と、質問設計・評価基準・面接後フォローまで一貫した「選考プロセスの整備」にあります。本記事では、会計/税理士事務所の面接官向けに、ミスマッチを防ぎ、定着率を高めるための面接の考え方から、質問設計・具体的な質問例・評価シートの作り方・面接後フォローのポイントまで、採用現場で使えるノウハウを体系的にまとめました。強い組織を作るための「採用面接ガイド」として、ぜひご活用ください。


【1】面接官の2つの役割「見極め」と「魅力・動機付け」

採用面接は、単に応募者の合否を決める場ではありません。面接官には、事務所の未来を担う人材を正しく判断する「見極め」と、優秀な人材に「この事務所で働きたい」と思わせる「魅力・動機付け」という、2つの役割が求められます。特に会計・税理士事務所での採用では、専門性と人間性の両面を見極めながら、応募者に「ここで働きたい」と思ってもらう工夫が求められます。

①「見極め」

経験・資格・スキル面と価値観・志向・意欲面の両面を確認する。会計/税理士事務所の業務は、専門知識や正確な作業、そして対人能力のバランスが重要です。

■経験・資格・スキル面

**・経験:**税務経験、経理経験、事務経験、営業販売経験、IT経験など **・資格:**簿記、税理士、会計士、MOSなど **・スキル:**会計・税務ソフトの利用経験、PCスキル、コミュニケーションスキル、進捗管理スキル、事務スキルなど **・会計事務所で主に求められるスキル:**会計・数字への強さ、正確性、 期限に間に合わせる実務力、継続力、ミスに向き合う姿勢、顧客や社内での対応力・コミュニケーション力、学習意欲や向上心など

■仕事の価値観・志向・意欲面

**・働き方:**残業や繁忙期への考え方、長期的に腰を据えて働きたいのか、など **・スキルアップ意欲:**資格取得を目指すのか、専門性向上への意欲、など **・キャリア志向:**将来どのような専門家や税理士を目指しているか、プレイヤー型か、将来的にリーダーや管理職を目指すタイプか、など **・自社の文化への適合(カルチャーマッチ):**黙々と業務に集中するタイプか、チームで動くことを好むか、提案型・顧客志向の強いタイプか、など自所の組織文化との親和性を判断

面接では、経歴や資格をなぞるだけでなく、「なぜそう行動したのか」「どう考えているのか」を深掘りする質問を設計し、働き方や価値観・志向が自所と合っているかを見極めることが重要です。これらを確認するためには、「過去の行動に焦点を当てる質問(例:困難な案件にどう対処したか)」や、「将来像を語らせる質問(例:3年後にどんな働き方をしたいか)」が有効です。応募者の“思考の癖”や“行動の背景”を引き出すことで、スキルだけでは測れない適性を見抜くことができます。

②「魅力・動機付け」

優秀な人材ほど複数の内定を得やすく、選ばれる面接官になる必要があります。面接では「選ぶ側」であると同時に「選ばれる側」でもあり、候補者へ事務所の魅力を伝える場でもあります。「なぜこの事務所で働く価値があるのか」「どんな成長ができるのか」「将来どんなキャリアを描けるのか」を面接官自身の言葉で伝えることが、内定承諾率・定着率を大きく左右します。

■自社の魅力を伝える

**・企業理念・ビジョン:**どんな価値を社会に提供している事務所か。 **・事業内容・サービス内容・業務内容の魅力:**会計・税務の枠を超え、経営支援やコンサルティングなど何を強みにしているか。特定の業種や業務に強い、資産税に特化している等の差別化ポイント。 **・企業風土・社風:**協調型・挑戦型など、働く人の雰囲気。 **・経営者・働く社員の魅力:**人柄・成長ストーリー・チームの一体感。 **・就労環境の魅力:**教育・残業体制・リモート環境・福利厚生・IT環境。 **・制度・待遇の魅力:**頑張りが正当に反映される仕組み。 **・将来性の魅力:**キャリアの広がり、法人化や事業拡大などの展望。

■動機付け

・成長のリアルを伝える:「担当顧客や業務について」「待遇や」「資格取得支援」など。「この事務所で働けば、自分のキャリアがどう開けるか」を応募者に具体的に伝え、入社後の働くイメージをもってもらいます。 **・価値観の共感を生む:**理念や働き方を具体的に語ることで「ここで働きたい」と思ってもらう。 **・誠実な情報開示:**繁忙期の実態や仕事の大変さも包み隠さず伝えることで、信頼を得やすくなる。 **・敬意を持った対応:**一人ひとりの候補者に敬意を払い、相互理解を深める姿勢が、最終的な内定承諾率を大きく左右します。応募者の募集職種や応募書類を把握していないなどの準備不足や面接官の横柄な対応は応募者からの信頼低下となります。